誰にでもある話。

珍しくはない、誰にでもある話を、作ってはぼやいています。

ただ、逃げたかっただけだった。

 

毎日毎日、なぜか目的もなく精一杯生きていた。

体も心もこんなに疲れているのに、誰に脅されているわけでもないのに、必死こいて電車に乗っては毎日したくもない勉強をしてはバイトへ行く。何かのために毎日何かしらの予定を入れては必死こいてその予定をこなしていた。毎日灰色の点が付いているカレンダーを見て、時には絶望する時もあった。ああ、休めないんだって、その場から動けないこともあった。でも、休みたいと叫ぶ体とは対照的に、心はなぜかあらゆるものに希望を持ってしまう癖が治らない。やりたいことはたくさんあるし、自分が愛されにくい方の人間であることを理解しているから、自分を受け入れてくれる人に必死に付いていってはしがみついていた。その手が少しでも離れた時は、自分でも信じられないほど絶望した。私の心は、自ら極端な寒暖差に飛び込んでいく癖があった。だから、すぐに風邪を引いてしまう。どんな服を着ても、どんな毛布をかぶっても、どうにもならないものだった。寒さに慣れないまま、暖かさを求めに行ってしまうのだった。だから、いつまでもこの体は寒がりで、今年は10月からマフラーをつけていた。

体は、正直に叫んでいた。もう限界だ、と。この頃毎朝おかしいほど起きれないし、一度寝てしまえば本当に何時間でも寝る体になった。最近は、お腹が空いていても出てきた食事を半分も食べればお腹が一杯になるどころか、気持ちが悪くなる。今まで甘いものは好きだったが極端に甘いものは苦手であった。でも今は、少しのコーヒーに対し大量のガムシロップを入れては数分で飲み干す。すぐに胃は痛くなるし、すぐにお腹を下す。できた傷は痕になって消えなくなった。いつの間にか、目の下にはクマがいた。最近猫背がひどくなった。それなのに、私の心はいつまでも夜に閉じこもろうとする。いつまでも起きようとする。何かに縋り付いて、視界を狭くして、無理やりなぜか生きようとしていた。

 

最近、物事や考えていることを整理するタイミングがあった。今までそうしなかったのは、整理することを恐れて無理やり予定を詰め込んでいたのも理由の一つだった。そうしてみたら、自覚した。今持っているものは悩みだけだった。訳もわからず行き先も見失いながら、ただ、ただ前に進もうと精一杯もがいて進んでいたら、どうやら森にでも来てしまっていたらしい。どこにも出口はなかったことに気づいた。今まで信じていた進んでいた道も途切れてしまっていたことに、つい最近足元をふとみて気づいた。どうやら、その道は随分前にとっくに途切れてしまっていたらしい。またもや、絶望してしまった。どうしようも無くなって、その場で寝た。小一時間であろうか。そんな時間で、私は呑気に夢を見た。夢の中で私は何をしていたかというと、今寝ている私のように、森の中を彷徨っては絶望していた。そこで私は、目を覚ました。どうやら、寝ても覚めても絶望らしい。

 

人は、このような状況に立たされた時何を思うだろうか。私は、ただ「逃げたい」と思った。どうしようもない時、人は逃げたくなる。当たり前のことではないだろうか?だから私は、なんとなくその場にあったイヤホンを首に巻いて寝てみた。明日の朝、もしかしたら眠ったままでいられるかもしれない、と。

 

もちろん、朝は来たし、目は覚めた。空が綺麗だった。思わず写真を撮った。最近の私の写真フォルダは空ばかり。

 

だからなんだ。なんなんだろう。ただ、逃げたいんだ